空き家バンクで古民家を探して、セカンドライフを田舎で暮らそうとしている方もいるのではないでしょうか。
しかし、空き家バンクで古民家を探すときは要注意。
もしかすると、空き家バンクの古民家はいわくつき物件かもしれないんです・・・!
今回は、空き家バンクで古民家を購入したご夫婦の末路のお話です。
【1.悲惨な空き家と悲しい田舎暮らしの例】
有名なドイツのことわざに、「無能な働き者は殺せ」というものがあります。
無能は仕事しないほうがまだマシ、無能が余計な仕事をし出すと周りが迷惑、という意味 です。
余計なことをするばっかりに、せっかくの空き家バンクの利用者も人生が台無しになるかもしれません。
甲市は農村地帯で、風情のある大きな古民家が多いことで有名です。
そのことを知って いたAさん(61歳)は、定年退職後、甲市に移住して悠々自適な田舎暮らしをしようと、 甲市の空き家バンクを訪ねました。
甲市の空き家バンクは半年前に開設されたばかりで、市役所の担当者も新任で、一生懸命相談にのってくれました。
そこで空き家を紹介してもらううち、ある空き家に目が留まりました。
土地400坪、建物100坪、築100年の堂々とした風情、農作業小屋が2つもありました。
聞くと地場の会社の社長さんの家、地元では有力者だったそうです。
写真を見て気に入ったAさんは、奥さんを連れてさっそく、空き家を見に行きました。
見渡す限りの田園風景の中にあるたたずむ家は、想像以上に風情があり、どこかしら懐か しく、それでいてほっとする雰囲気がしてとても気に入りました。
そしてさすがに建設会社の社長さんの家、使っている柱や梁は力強く、それでいて手に触れる場所は繊細な細工も施されています。
価格は1500万円。
ちょっと高くて無理かなと思いましたが、東京の中古住宅に比べれば安いもの、とりあえず話を聞くことにしました。
現地で再び顔を見せた市役所の担当者は「古民家に強い建築士」を紹介してくれました。
聞くと、地元で古民家研究グループのリーダーをしているとのこと。
彼曰く、「これは 2000万円ほどの古民家的価値がありますよ」と。
続けて不動産屋も言います「今は空き家対策でこういう古民家でも住宅ローンがつくんですよ」。
すっかりその気になったAさん、売主は近所の八百屋さん、3年ほど前に、建設会社の社長から購入して以来空き家にしていたそうです。
ご縁だからと100万円マヶて 1400万円で良いとのこと。
さっそく貯金400万円をはたき、1000万円ローンと合わせて購入することにしました。
【2.風呂無し、水なし、雨漏りあり】
この家、風呂が使えませんでした。
そこでAさんは先の建築士にお風出の増えを依頼しました。
3平米の増築で700万円。
古民家の雰囲気を壊さないデザインにしてくれるとのことで依頼しました。
空き家を買ってから点検すると、古い電線を全交換する必要がありました。
漏電して火事になれば大変です。
交換費用120万円。
それ以外にトイレ、水回り、全部交換しました。
リフォームに960万円、これで最低限の生活が可能でした。
ある雨の日、雨漏りしました。
タライをひっくり返したような盛大な漏れ方です。
建築士に聞くと、「もう8年は交換してないようだから、瓦の全交換に500万円かけたほうがいいですよ・・・」。
そんなお金もうありません。
「なにかおかしい」と感じても、自分では何がおかしいかわかりません。
そこで私たちに相談に来ました。
【3.空き家バンクを使った「購入者がババを引くカラクリ」】
この家、競売物件でした。
バブル景気の崩壊で、社長の家が差し押さえられたのです。
その時の落札価格は推定400万円。
日々、野菜のセリで商売感覚抜群の八百屋さんが落札したのです。
その後しばらく放置していましたが、空き家バンクができるというので、試しに1500万円で掲載してみたのです。
すると、首尾良くその値段で売れた。
そういうことだったのです。
限界集落で野菜を売ってももうかる時代ではありません。
空き家を売り抜けもうけたお金で八百屋さんは店を閉め、さっそく自分の家を洋風の邸宅に大リフォームしたのです。
それだけではありません。
不動産屋さんには予想を超える仲介手数料が入ります。
今月のノルマ達成です。
市役所の担当者も、始めたばかりの空き家バンクではじめての成約です。
今月の市報に、市長のコメント付きでこの実績が掲載され、その市の2大ニュースの 7位にランクインしました。
当然、人事査定もプラスに働きます。
自称「古民家に強い建築士」は、お風呂の設計料、地元の工務店を紹介した紹介手数料が入りました。
締めて150万円。
さっそく、仕事の車を外国車に買い替えました。
みんな、Aさんに表向き愛想を浮かべていても、自分のこと、お金のことしか考えていなかったのです。
その一方、Aさんは困りました。
セカンドライフのために用意したはずのお金はスッカラカン、借金が残りました。
その経緯は近所の人がみんな知っているせいか、近所の人も どこかしらAさんと話しづらいように感じられます。
Aさんは、冬寒く、夏暑く、すき間風だらけ、近所との関係でなんとなく居づらいこの家に住み続けるしかありません。
奥さんは「寒い」と言い残して東京に戻りました。
本心は「こんな田舎暮らしに付き合えない」と愛想がつきています。
Aさんは今日も、雨漏りの不安に怯えながら、意味もなく広くて暗い大きな家に一人、ひっそりと住み続けています。
【まとめ】
いかがでしたか?
空き家バンクを使った古民家の購入にはAさんのようにリスクの伴うことも少なくありません。
とはいえ、金銭的な理由から比較的安価で購入できる空き家バンクの古民家を検討している人もいると思います。
空き家バンクで古民家を探し、気に入った古民家であれば購入すること自体に否定はしません。
ですが、Aさんのようにいわくつき物件であった場合、どうすればいいのでしょうか。
それは、購入した後に「古民家の売却」を検討するのがひとつの解決策になります。
古民家の売却をするときは不動産査定サイトなどで無料の査定依頼もできます。
古民家の価値を知って、売却したらいくらになるのか、知ったうえで行動したほうが計画的です。
また、古民家の売却ですと、サポート体制の充実しているHOME4Uがおすすめです。
HOME4Uは大手不動産会社も参画している不動産査定サイトです。
HOME4Uの提携会社には古民家などが空き家になった場合の活用方法を提案してくれるアドバイザーも存在します。
更に、アドバイザーのいるような大手業者であれば、住み替えによる金銭的サポート(つなぎ融資や買い替え保証など)が充実しているケースも多いです。
古民家を売却するときならではのサポートとアドバイス、集客をワンストップで行ってくれるのです。
空き家バンクで購入した古民家を売却するなら、一度HOME4Uで無料の不動産査定を行って価値を知っておくのもよいでしょう。